ロックダウン下のフィリピン・セブ島
2020年4月、新型コロナウイルス感染症対策に伴い、セブ島では「ECQ(Enhanced Community Quarantine:強化されたコミュニティ隔離措置)という段階的なロックダウン措置が取られています。
ECQ中の町中を、アクトハウススタッフが実際に歩いてみましたが、人通りも少なく車やバイクもまばらな状況でした。
関連記事『
』
しかし厳しい措置のおかげもあり、セブ島でのコロナウイルス感染者数は2020年4月7日(火)時点で「22名」。
これだけ感染者が抑えられている理由は、フィリピンのコロナウイルス感染に対する予防策が「早急」かつ「厳格」であったため。
フィリピン政府の迅速なコロナウイルス対応
フィリピンは早期対応が特に迅速であった国の一つです。
国・市・州の各行政機関の早急・厳格な対応により、医療体制は日本よりも不十分な発展途上国であるにも関わらず、感染拡大を抑制できている状態と言えます。
その「厳格さ」は、アクトハウスが存在する建物内であっても同じ。普通に生活しているだけで、感染予防対策の力強さを感じることができます。
今回は、セブ島在住歴3年のIT留学学校スタッフが、アクトハウスの建物内で実施されている感染予防策の様子をレポートします。
関連記事『【毎日更新】セブ島での「新型コロナウイルス感染症」の対応と方針』
アクトハウスの建物で実施中のコロナウイルス予防
各階にアルコール消毒液の常設
建物内の全てのフロアのエレベーター近くにアルコール消毒液が常設されています。食料や日用品の買い出し等で外出する際、または帰宅する際に皮膚や手のひらにつけて消毒を実施しています。
コロナウイルスにはアルコール(70%)が効果的なため、毎日上り下りするエレベーター付近に設置し、いつでも消毒ができるような工夫をしています。
手すりやボタン、ドアノブには接触感染防止用のラップ
手すりやエレベーターのボタン、ドアノブなど、居住者が触ることが多い箇所にはラップを巻いて、接触感染を防止しています。
コロナウイルスの感染経路は、飛沫感染だけでなく「接触感染」でも感染することが確認されています。感染者がくしゃみをした手で触ったドアノブや電車のつり革、取っ手に触れることで、ウイルスが付着し感染するケースです。そのため、普段よく人の手で触れるような箇所に予防策を敷くことはとても重要なこと。
こちらのラップは毎日新しいものに取り替えるため、菌が繁殖することもなく常に清潔に保たれています。
建物内に完備してあるジムやプールは一時的に使用禁止
普段、居住者が使用している併設のジムやプールなどもロックダウン中は使用禁止。一見すると不便なように思えますが、人々が密室で接触し、集団感染が起こる可能性を防ぐためにもとても重要な対策になります。
とくに集団感染が発生しやすい
❶「換気が悪い場所」
❷「人が密に集まって過ごすような空間」
❸「不特定多数の人が接触するおそれが高い場所」
という環境(いわゆる「3密」)を極力作らないためにも、感染拡大しやすいジムやプールなどの空間は、一時的に封鎖する措置が取られています。
スタッフ・事務員は全員マスクを着用
建物内の全てのスタッフ、事務員はマスクを着用しています。それだけでなく居住者とスタッフ、また居住者同士での会話時には、強制ではありませんが、なるべく1mの間隔を開けるなどのソーシャル・ディスタンシングも実施。できる限り感染リスクを下げるために実施されています。
また全てのスタッフの各居住者の部屋への出入りさえも禁止されている徹底ぶり。各部屋の掃除や対応も廊下や公共の場に限定するなど制限された対応となっています。ただし電気やインフラ関係、飲料水などの運搬作業等は、生活上必須となるために出入りも許可されています。
居住者にも感染予防の対策を要請
スタッフのみならず、各居住者にも予防策を徹底するよう要請。建物内の張り紙にはルールや制限が細かく記載、日を追うごとに新しいルールも追加され、張り紙の枚数も多くなっている状況。細かい行動にまで最新の注意を払うことで徹底的に感染防止に努めています。
・マスクなどの着用
・くしゃみや咳をする際はかならずハンカチ等で口を覆う
・対話時の1m以上の距離確保
・手洗いうがい、アルコールでの消毒の実施

建物の入り口では警備員が検疫チェックを実施
入り口では警備員による「体温計チェック」と「アルコール消毒液での消毒」が実施されています。たとえ数分の外出であったとしても帰宅時には毎回必ず実施。もし体温計チェック時に「37.7度以上の熱」があった場合は、建物内での感染を防ぐためにそのまま病院へと案内されます。病院へはアクトハウススタッフも同行もしますのでご安心を。
フードデリバリーサービスのスタッフ・配達員の建物内の入場禁止
ロックダウンにより、デリバリーサービスを利用する居住者が増えていますが、デリバリーサービスのスタッフや配達員は、建物の中への入場が禁止されています。外部からの感染拡大を防止するためです。そのため注文品を受け取る際は、居住者が一階まで降りて受け取るような形が取られています。
そのほか、居住者以外・関係者以外の立ち入りを極力避ける、スタッフの出入り回数も抑え、最小限のスタッフで運営するなどの対応が取られており、コロナいう留守に対する強力な対応策が実行されています。
緊急時・買い出し以外の外出禁止
ロックダウン中のため、基本的には外出が禁止されていますが、緊急時または食料品・日用品の買い出しに関しては外出が許可されています。ただし外出する場合は、市から発行された外出用ID(Enhanced Community Quarantine Pass)を持参する必要です。このカードは建物ごとに数枚ほどしか発行されないため(他の地区ではルール等が違う可能性もある)、他の居住者同士と共用で使用します。
そのため、1週間のうちに外出できる時間が決められており、現在は3日に1回ほどの頻度で外出許可日が回ってくる形です。しかも一回の外出時間も「2時間まで」と決められており、かなりタイトなスケジュール。
この居住者にとってはなかなか厳しい対策も、街中に外出する人をあまり増やさないようにするための市の対応なのかもしれません。
アクトハウスでも予防策の徹底
アクトハウスでは2020年4月7日(火)時点において、コロナウイルス感染者、または感染を疑われるような症状を持つ方はおりません。ただ、今後も引き続き感染を防ぐために、下記の通り、全参加者・スタッフに向けた予防策の徹底しています。
・コロナウイルスに関する情報発信
・マスクやアルコール消毒液、ハンドソープなどの配布
・うがい手洗い/咳エチケットなどの呼びかけ
・外出時や感染拡大を防止するための注意喚起
とくにフィリピン政府の情報は刻一刻と変わり、ルールもすぐに変わります。そのため参加者向けの掲示板にもほぼ毎日、コロナウイルスに関する情報がアップデートされています。
コロナウイルスに関する知識、有効な予防策をまとめた記事も書きましたので参考にどうぞ。
関連記事『新型コロナウイルス感染症に対する予防策まとめ』
まとめ
フィリピンの徹底的な予防策はまとめて見てみると、どれも各個人の行動を制限される厳しいものであることは確かです。実際に制限される本人からすれば非常に辛いものであることを実感します。
しかし、このような「厳しさ」こそが結果的にフィリピンでの感染者数を抑えている大きな要因である、とも言えます。
今後どのような対策が取られるにしろ、常に国の動向をチェックし、決定された対策に合わせて柔軟に舵取りをしていくことが大切です。