ロックダウンのセブ島で「営業中」のお店や会社を調べてみた。

類を見ないコロナウイルスの影響

2020年3月28日(土)正午12時より、「ECQ(Enhanced Community Quarantine:強化されたコミュニティ隔離措置)という段階的なロックダウン発令がされているフィリピン・セブ島。

フィリピン現地企業も一部以外は営業停止、外出も緊急時と食品等の買い出しを除き原則禁止という厳しい措置が取られてます。

世界中の誰も経験したことのないような未曾有のコロナウイルス災害に対して、各国、各市、各企業、各個人がこの危機を乗り越えるため試行錯誤を繰り返している状況。

アクトハウスでもコロナウイルスを防ぐため、予防策の徹底や最新の情報発信を心がけております。

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制限時間のあるなか食料の買い出しにセブ島を歩いてみる

SNSでもウイルスに関する様々な情報が飛び交っていますが、必ずしもすべての情報が正しいものとは限りません。「トイレットペーパーがなくなる」「コロナ感染者がこの地域で増えた」など、時に根拠のない情報や間違った情報も流れてきます。情報過多ともいえる現代の中で情報の品質も問われる時代になっています。

今回は、2020年4月7日(火)、ロックダウン発令中、1時間半ほどの外出をしてセブシティの様子を筆者がレポートしました。とくに「どこが営業していて、どこが閉まっているのか」に注目して書いた記事になります。筆者が「外出許可時間を使ってスーパーへの買い出しに行った際」に街中を歩いた際の情報です。不要不急の外出は禁止のため、情報は限られた内容になることをご了承ください。

なお、当記事の筆者でなく、他のアクトハウススタッフがロックダウン中に食料を購入するため外出した際のレポート記事はこちら。

▶︎関連記事『ロックダウン中のセブ島をレポート。都市封鎖の現状を徒歩で見てきた。

外出する際は「外出用ID」の携帯を

まずはアクトハウスがある建物内の事務所で「外出用ID(Enhanced Community Quarantine Pass)」を受け取ります。

外出用IDは、ロックダウン中の外出時に必ず持ち歩かなければならない通行証のようなもの。セブ州から発行され、各家庭、各コンドミニアムごとに配布されているようです。外出時間も「3日に一度」「◯時〜◯時まで」と厳格に決められており、居住者はルール通りに外出をしなければなりません。(各地区によりルールも異なる)

なおアクトハウスがある建物内では、上記の外出制限をはじめ、アルコールの常備設置やソーシャルディスタンシングなど、コロナウイルスに対する予防策が徹底されています。

関連記事『【ロックダウン】アクトハウス建物で実施中のコロナウイルス予防策をレポート

外出時はマスク着用も義務付けられているため、筆者もマスクを準備してセブシティの街中へ。

セブシティの大通りに到着

セブシティの大通りに出てみて最初に感じたことは「人はまばら」「車やバイクは時折走っている」といったところ。人の気配がゼロというわけではなく食料品の買い出しや医薬品購入のためにポツポツと現地の人が歩いていました。

ただそれでも、平常時とは比べ物にならないほど人が少ない状態なのは確かです。

ロックダウン中も「営業」していたお店・企業

銀行(bank)

金融機関はロックダウン中でも営業を許可されている業種の1つです。そのため市内にある銀行は、問題なく営業していました。営業時間に関してはロックダウン中のため平常時よりも短縮しています。   店舗内が混雑しないように入場制限をかけているため、外に2~3名並んでいる姿も見られました。

銀行に併設してあるATMももちろん稼働中なのでお金の引き出しができなくなる心配はありません。しかしフィリピンあるあるですが、ATMが稼働してても、機械の中の現金が不足しているために引き出せないケースもあるので、現金の引き出しは余裕を持って行うことをオススメします。

両替所(money changer)

銀行と同じく金融機関である両替所も営業しています。レポート途中で見つけた両替所は全部で3件でしたが、その3件とも営業中でした。街中の小さな両替所であっても、看板にはしっかりと「オープン」という文字が。

ロックダウン中にもし、ペソがなくなってしまっても「円→ペソ」に両替することが可能なので、日本円の現金を持っていれば現金不足の心配はなさそうです。

コンビニ(convenience store)

こちらは歩いている途中にあるセブンイレブン。基本的にコンビニ系は、ほとんどが営業を続けています。特に買い物客で混雑していたり買い占めが起こっている様子もありません。

飲料水やカップ麺、食べ物や日用品などの商品も、売り切れになることなく充分に陳列してあります。ただしアルコールに関しては、国によって購入・販売が禁止されているため、お酒やビール、ワインの陳列棚には「購入禁止」の張り紙が貼ってあります。

ホテル(hotel)

ホテルも通常通り営業していました。ちらほらですがホテルに一般客の出入りも見受けられます。しかし場所によって新規受け入れをしていなかったりと各ホテルによって独自のルールが敷かれている模様です。

ガソリンスタンド(gas station)

最低限の経済活動を行う上でも欠かせない燃料小売業のガソリンスタンドは営業中です。従業員は最低限の人数ではありますが、行列になることもなく活動しています。ガソリンの他にも重要な資源である「電気・ガス・水道・インフラ」に関しても営業が継続しており、電気が止まる、水道が使えなくなる、といった事態は一切起きていません。

救急車・医療機関(medical institution)

こちらはたまたま通りかかった救急車の写真です。フィリピンの医療機関も機能しており、救急車も稼働している模様です。

筆者が電話で問い合わせた情報によりますと、コロナウイルスへ感染した場合、または感染が疑われるような症状がでた場合は、セブシティ内にある大型病院での診療が可能とのこと。海外保険も適用されるとのことですが「診療時は現金のみで後から保険会社に請求する形」「入院費に関してはキャッシュのみ」など、病院によっても対応がバラバラな状況なので、詳細は各病院・保険会社に直接問い合わせてみるのが確実です。

飲料製造・運搬業(beverage production)

飲料水の製造業者、運搬業者も通常通り稼働しています。写真はロックダウン中に発見した、フィリピンでは一般的な飲料水である「NATURE’S SPRING」の運搬トラック。ロックダウン中であっても各家庭、各事業所まで運搬トラックが来るため、水不足になる事態も現状ありません。

飲食店・レストラン(restaurant)

飲食店やレストランに関しては基本的にイートイン(店内での飲食)はすべて停止です。しかし「デリバリーサービス・テイクアウト」に関しては営業が継続されています。店舗に近づいてみるとお客さんの姿はなく、代わりに多くのデリバリー配達員が注文の品物提供を待っている姿が目立ちます。

ロックダウン中はデリバリーサービスが重宝します。「大勢が利用するから配達アプリにアクセスが集中して使用不可になったりするのでは?」と思われるかもしれませんが、ロックダウンが始まって1週間過ぎてもアプリが開けなかったり、注文ができなかったりするトラブルは起きていません。選択できる店舗数は減っていますが、大きな問題はなくスムーズにデリバリーサービスを利用できる状況です。

ドラッグストア(pharmacy)

アルコール消毒液や日用品、医療グッズなどの生活必需品を扱っているドラッグストアも通常運転。

人の混雑もなくスムーズに入店ができます。シャンプーやハンドソープ、日用品や化粧品、ヘルスケア商品も綺麗に陳列してあり、不足などはありませんでした。ただしアルコール消毒液やマスクは相変わらずの品薄状態で、筆者の調べたドラッグストアでは依然として売り切れ状態となります。

スーパーマーケット(supermarket)

食料品や日用品が売っているスーパーは営業時間を短縮して営業しています。歩いてみた中ではもっとも人が多く来ており、密集している場所です。しかしロックダウン中のためか、平常時よりは人数は少なくスムーズに買い物ができる状況です。

飲料水や食材、生鮮品やお米等も在庫はしっかりある模様。トイレットペーパーや日用品も問題なく数があり、買い物客による買い占めなどは発生していません。買い物客も焦った様子もなく平常心で買い物をしています。

ロックダウン中に「営業停止」していたお店・企業

反対に、レポートした中でロックダウンに伴い「営業停止」となっていたお店・企業をご紹介します。

カフェ(cafe)

歩いた中で調べたカフェは4店舗でしたが、その全てが閉店していました。カフェはデリバリーサービスを実施していない店舗が多いため、全面閉店とするケースが多いです。ただし配達アプリを調べてみるとデリバリーサービスを活用し、ケーキやコーヒーをデリバリーで提供しているカフェもいくつかあります。

レストラン(restaurant)※デリバリーなし

デリバリーサービスやテイクアウトを実施していないレストランは全面閉店となってます。駐車場にも紐が引かれ、立ち入り自体が禁止されています。

スパ・マッサージ店(spa)

接触感染、飛沫感染する恐れがあるスパ・マッサージ店は全面閉店。駐車場にも紐が引かれ、立ち入り自体が禁止されています。

歯医者・理髪店(dentist/barber)

左手のガラス張りの施設が「歯医者」、右手の新聞紙で一面覆っている施設が「理髪店」です。どちらも閉店しています。ロックダウン中に「これは辛い」と痛感したことが「歯医者に行けないこと」「理髪店に行けないこと」です。

ロックダウン中にもし虫歯が発生した場合、ひたすら激痛に耐えなければならないし、治療中であれば再開するまで治療を再開することもできません。理髪店に関しても、1ヶ月以上というスパンで髪を切れなくなり、自分で髪を切るか誰かに頼むかしか方法がなくなります。ロックダウン前には「歯医者」「理髪店」に行っておくことをオススメします。

公共交通機関(transportation)

タクシー、バス、ジプニー、バイクなど、セブ島にある、あらゆる公共交通機関がストップしています。現状、移動手段として考えられるのは「徒歩」か「自家用車」のみです。旅行者や留学生の場合、自家用車を持っていることは少ないので必然的に「徒歩」になります。そうなるとあまり距離が遠い場所には行きづらく、買い物も近場となります。

筆者も徒歩で買い物をしていますが、これがなかなか厳しい。セブとの日差しと買い物袋の重さで、買い物に行くたびに一苦労です。

ロックダウン中でも営業している「レンタカー会社」に問い合わせて車を手配する方法もありますが金額が高く、病院や空港へ行く場合などの重要なケースに限られます。

結論:不便さもあるが混乱は予想以上に起きていない

今回のレポートの感想を一言でまとめると「ロックダウン中は不便さもあるが混乱はなく、普段通りの生活は継続可能」ということです。

飲食店やドラッグストア、資源供給業者やインフレ業者など生活に欠かせない企業は、営業時間を短縮しながらも問題なく稼働中。食料品や日用品の買い占め・売り切れも発生しておらず、各販売店にはしっかりと品物が供給されている状況です。確かに外出禁止や移動手段の制限という不便さはありますが、それ以外は大きな問題もなく、普段通りの暮らしが送れています。

大切なのは「ロックダウン」という言葉の圧力に必要以上に怯える必要もなく、かといって甘くみることもせず、正確な情報をキャッチして冷静に行動していくことだと、このレポートを通して感じたところです。

フィリピン在住、日本在住の皆様にとって、本レポートが少しでも参考となれば幸いです。